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思い込みで自己の体臭を気にしている患者さんは、試験切開で容易に納得し、悩みも解消してしまうものですが、神経症としての自己臭恐怖の患者さんには、さまざまな精神療法が必要となることもあります。
じつは、神経症としての自己臭恐怖は、赤面恐怖と同様に、精神病理学的に「対人恐怖」として分類されるというもので、日本では、森田学派を中心として、盛んに研究されてきました。
多少専門的になりますが、簡単に言えば、対人恐怖(ここでは自己臭恐怖や多汗恐怖)の発生は、他の神経症一般の発生と同様に、ヒポコンドリ性基調という神経症になりやすい性格がベースとなって、なんらかの契機で、精神交互作用という悪循環に陥り、症状が固着し、神経症に至るというものです。
多汗恐怖を例にあげてみましょう。
もともと内向的で感じやすい性格の男性が、手掌多汗を訴えて来院しました。その契機は、中学生の時のフォークダンスで、日頃好意を抱いていた女生徒と踊った際、緊張感から、手に異常に汗をかいてしまい、恥ずかしい思いをしてからです。
それ以降自分の手掌の感覚に鋭敏となり、汗をかくまいとすればするほど手掌を強く意識するようになってしまったといいます。
意識し出すと、ちょっとした温度の変化や、緊張したときなどでも、すぐに手掌に汗をかいてしまうという悪循環に陥り、次第に悩みが深くなり、神経症症状にまでなってしまったのです。
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