わきが多汗症相談室
「脱毛後のワキガ臭」について
投稿者名:らんと
タイトル:脱毛後の臭いについて
投稿者名:五味院長
タイトル:「脱毛後臭」について
先日「脱毛後多汗症」について記載したところその反響に驚きました。それだけ、脱毛を契機にして汗が増えてしまったことで悩んでいる人が多いということでしょう。 また、多くはありませんが、らんとさんのように、脱毛をしたことで「ワキガ臭が強くなった」とか「違う臭いに変わってしまった」というメールもありましたのでここでお答えします。 通常腋の脱毛と臭いとの関係は、むしろ「脱毛をするとワキガ臭が減少する」というように説明されています。その理由は、臭いの発生の原因となる雑菌が腋毛がなくなることで減少するからです。 腋の雑菌は皮膚の上に満遍なく棲みついているのではなく、腋毛が毛穴に付着する部分に多く住んでいるのです。細菌にとっては、アポクリン腺が分泌する皮脂やタンパク質は絶好の餌であり、それらが分泌される部分に棲みつくのは当然です。 ところが脱毛によって毛がなくなると、細菌が付着する表面積が著しく減少し、相対的に分泌物が通るアポクリン腺の導管の出口が狭まるために細菌の繁殖が抑えられるのです。 ですから、本来脱毛はワキガ臭を減少するはずです。 ところがこの「はず」に相反することが起こるのが世の常です。 脱毛後の多汗症ほどでありませんが「脱毛したらよけいに臭いが強くなった」と訴えて来院される人も時々います。 その理由は分かりません。 術後多汗症以上にエビデンスがないからです。 また当院では、脱毛以前の臭いの強さと比較することもできませんのでその真否も分かりません。 しかしです。 仮にそのような「現象」が本当にあるとしたら、これはやはり術後多汗症と同様な理由で、脱毛刺激がアポクリンを活性化して活動が盛んになったとしか考えようがありません。(そのような因果関係の証明はまだされていませんが) そして、仮にそのような「原因」が本当にあるとしたら、最近はレーザー脱毛の全盛期ですが、脱毛の手段としての電気凝固法の価値は見直されるべきでしょう。 特に、臭い対策も兼ね備えた脱毛法としては他の脱毛法にない長所があります。 例えばレーザー脱毛では、レーザーは色に反応しますから、毛は黒いので脱毛されます。しかし皮下にあるアポクリン腺は茶色ですから破壊されるわけではありません。 レーザ脱毛が、アポクリン腺は破壊できない、しかし、刺激だけはしてしまうとしたら、臭いの治療法を「兼ねた」脱毛法としては不完全でしょう。 b この点、電気凝固法の場合には、高圧の電気によりアポクリン腺が熱凝固(つまり焼肉と同じです)し、タンパク変性を生じる結果、臭いの発生機能が低下してしまうのですから、脱毛後に臭いが強くなるという可能性は100%ありません。 ですから、ワキガ臭を気にする人が、「脱毛もしたいがワキガ臭もついでに減少させたい」というのであるなら、脱毛法としてはレーザー脱毛より電気凝固法の方に分があるでしょう。 確かに、脱毛そのもの効果や確実性ではレーザー脱毛に分があるのは事実ですから、一勝一敗の引き分けでしょうか。 大切なことは自分にニーズに合った脱毛法を選択することでしょう。 さて、今回の本題はこれからです。 それは脱毛と「脱毛後臭」の関係についてというものです。 この掲示板を最初から読まれた人なら「脱毛後臭」という言葉を 聞いただけで他になにか似た言葉を思い浮かべることでしょう。 そうです。「術後臭」のことです。 ワキガの手術をした後にも「違うニオイになった」「他が臭うようなった」「よけい強くなった」と訴える人がいて、そのような人のニオイを「術後臭」と便宜上呼んでいるのです。 「術後臭」も、手術とその後のニオイの発生の因果関係とが医学的に「全く不明」な現象です。しかし、そのニオイを嗅いでいる本人にとっては感覚上事実なのですから、だれしもその「ニオイ」の存在を否定することはできません。 私自身過去にそのような訴えの患者さんを経験したことも事実です。 しかし、現在はそのような人はほぼ一人もいません。 なぜなら現在当院では、手術適応の3原則(本当にワキガ条件があり、アポクリン腺のニオイとエクリン腺のニオイとが明確に区別できる等)を忠実に守って、適応条件に合わない人は絶対に手術をしないという診療方針をとっているからです。 「試験切開」という合理的なワキガ検査法を開発したことも幸いしています。 いずれにせよ、当院の場合には「術後臭ではないか」と言う人は次の3通りの可能性があったのです。 1)本当はワキガ体質ではないにもかかわらず手術をした人 2)自己臭妄想的に悩んでいた人 3)術後の自分の体臭に対する嗅覚の感覚が変化した人 以上の事柄は、「脱毛後臭」で悩む人にも言えるでしょう。 つまり、脱毛を受けた時点で明確にアポクリン腺のニオイ区別できない人が、それ以降人の態度やしぐさが気になり、腋へのニオイの意識が集中した結果ニオイ感覚が強くなった、というのが私の考えです。 これはあくまでも推定ですが、脱毛を契機にして臭いが強くなったと感じる人がいることは事実なのですから、脱毛の施術者は、その患者さんが「脱毛だけを望んでいるのか」「臭いも気にしているのか」「気にしているならどのくらいの強さのワキガ臭がするのか」といったことにも注意をはらい、基礎的なワキガ判定法程度は身につける必要はあるでしょう。 最後にらんとさんの質問ですが、もしあなたが手術を受けられる予定があるならば、手術を先に受けるのがよいでしょう。 なぜなら手術をすると、毛根も一緒に摘出されるので、術後は「ほとんど」脱毛になります。休止期と横に成長している毛が「パラパラ」と生えてくるだけですので、その段階で残りの「数本〜せいぜい数十本」をレーザー脱毛などするという順序が合理的ではないでしょうか。 勿論脱毛がすんでから手術をしても手術の内容には全く影響ありませんので安心してください。
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